手根管症候群
CARPAL TUNNEL SYNDROME
CARPAL TUNNEL SYNDROME
手を掌から見ると(図1)のように見えます。青いテープを貼っているところが、骨と骨を繋ぐ靭帯(屈筋支帯or横手根靭帯)があります。この状態から手首を手背面に反らすと(図2)のように見えます。この(図2)の赤丸で囲んでいる個所に、指を握る腱や正中神経が通っています。
何らかの理由で正中神経が圧迫されることによって(図3)のような個所に痺れが出現し、その状態を対応せずに時間が経過すると(図4)の赤丸で囲んでいる筋が萎縮してきます。
パーフェクトOテストは、手根管症候群によって親指を動かす筋肉が萎縮し、左図のように左手の摘みが楕円形になり、右手のように指で丸の形がとれません。
神経伝導検査は、抹消神経障害が疑われる時に行う検査になります。手の痺れがある場合や、筋肉の萎縮がある場合などに神経伝統検査を調べることで原因究明に役立ちます。手根管症候群では、神経伝導速度の遅延、波形がなく計測不能になることがあります。
手には骨、腱、筋肉、神経、血管などが密集しており、その治療には特殊な知識と経験そして繊細な技術が要求されます。
星野医師は、手外科研修病院に勤務し、切断指再接着術などに必要な直径1mm以下の血管を縫い合わせる特殊な技術を研鑽して参りました。その上で手外科専門医試験に合格して専門医を取得しております。
手根管症候群の原因として、「腱の炎症が起きている」「神経の圧迫」「筋肉の硬さ」「生活/仕事での動作の仕方」などが関わってきます。
治療法は、大きくわけて3つあり【保存療法(スプリント療法)】、【手術療法(日帰り手術)】、【リハビリ(作業療法)】があります。
赤丸で囲んでいる個所で神経の絞扼が起きているため、夜間だけ【カックアップ】と言われるスプリント(装具)を装着し、腱を安静にすることで神経の圧迫を取り除きます。併用して注射療法を行い、より効果的に痺れ、痛みに対し治療をしていきます。
作成時間:20~40分程度
目的:痺れ・痛みに対して、スプリント(装具)で手を安静に保ち、関節を保護することで痺れ・痛みが軽減していきます。
値段:【カックアップ】2,340円
※値段は3割負担時の場合です。別途診察料がかかります。
保存療法の効果が期待できない方、保存療法の効果がなかった方が手術療法の適応になります。
当院の手術は、日帰りで行える鏡視下手根管開放術で行います。
皮膚切開:2カ所切開します。
内視鏡:細い内視鏡を使います。
当院では手の日帰り手術を行っています。 手がしびれる、手首が痛い、指が動かしにくいなどでお困りの患者さんはご相談ください。また、当院では内視鏡を使って行っていますが、術前と術後評価は、執刀医が行うのではなく、作業療法士が担い、第3者に評価をしてもらうことで先入観がない状態で術後の経過を見ていきます。
手術は、局所麻酔で行います。手首と掌の2カ所に約1~1.5cmの切開を加え、細い内視鏡とナイフを入れて靭帯を縦に切開します。それによって手根管トンネル内の圧が低下し、神経が楽になるわけです。皮膚を3~4針縫合して手術終了です。手術時間は約20分から30分です。なお場合によっては内視鏡が入りにくいことがあります。局所麻酔で手術を行っていますので内視鏡が神経に当たった場合、指先に痛みを感じます。指先に痛みを感じた時は教えて下さい。神経を痛める可能性があるため、無理をせずに少し切開を拡げて内視鏡が入りやすくします。
手術直後は包帯で固定します。傷が小さく、短時間で出血もほとんどなく行うことが可能であり、日常生活や仕事への復帰が早いことが利点です。
翌日包帯を外して絆創膏に交換し、手に精通している作業療法による生活指導や自主練習指導を受けていただきます。無理をすると痛みが取れにくいため、術後3週間は重いものを持ったり、タオルを絞ったりする動作は避けてください。
星野 秀士
比較的安全な手術ですが起こりうる合併症として
1.感染(手術の傷から菌が入り、化膿すること)
2.神経損傷、腱損傷、動脈損傷
などが考えられますが十分に注意をして手術を行いますので心配ありません。
また血液透析の患者さんの場合再発することがありますが、その他の患者さんでは再発することはほとんどありません。
そして、しびれは比較的軽症では早期に改善しますが、重症例ではしびれや筋力の回復に数ヶ月から1年ぐらいかかることがあります。
術名 | 負担額 | ||
---|---|---|---|
3割 | 2割 | 1割 | |
手根管症候群 | 31,200 | 20,800 | 10,400 |
局所麻酔で行いますので手術が終われば帰れます。
診療時間内での対応は可能ですが、夜間および休日などは夜間救急病院に相談または受診をお願いします。その後、当院の診療日にお越し下さい。
術後は麻酔の影響と創部をガーゼで厚く保護しますので手が使いにくい状況です。安全面から当日はご家族か公共機関などを利用してお越し下さい。
現在服用しているお薬を確認させていただきます。その中で、抗凝固剤や血流改善薬など服用している方は医師の指示により手術前に中止をさせていただきます。中止の指示がない方は通常通り服用してください。
特に制限はありません。水分に関しては脱水予防のためにも控えないようにしてください。
1日診療日の昼休みの時間帯を利用して行っていますが、第2・4水曜日は午後からが手術日となっています。
※木曜日、土曜日は午後休診の為行っていません。
医療法人健手会
ほしの整形外科クリニック
院長 星野 秀士